COLUMN コラム
相続人が行方知れずの場合の遺産分割の進め方
遺産分割協議には相続人全員の参加が必要
故人の財産をどう分割するかについて話し合う「遺産分割協議」は、法定相続人全員が参加して行う必要があることをご存じでしょうか?たった一人でも相続人が不在の中で決定された遺産分割協議は、有効とはみなされません。
しかし、現代の核家族化した社会では親族関係が疎遠になってしまっていることも多いものです。法定相続人の全員と連絡を取り、話し合いを進めるのは難しい場合もあるのが現実でしょう。
今回のコラムでは、相続人が誰かはわかっているけれど行方不明・音信不通で連絡がとれない、といったケースで、遺産相続の手続きをどのように進めるべきかを手順に沿って解説していきたいと思います。
1 まずは相続人の住所を調べる。
相続人の存在が判明していても、その方の現在の住所がわからない、ということは実際に多く見られるケースです。
この場合、まずやるべきことは「戸籍の附票」を調べること。戸籍の附票は、住所不明の相続人の本籍地がある市区町村役場で発行してもらうことができます。
戸籍の附票には、本籍地だけでなく住所も記録されているので、現在の住所も知ることができるのです。
2 判明した住所宛てに手紙を出す。
次に、戸籍の附票を調べて判明した住所宛てに手紙を送付し、被相続人が亡くなったこと・ご本人が遺産相続人であること・遺産分割協議に参加してもらう必要があることなど、現状をお知らせしましょう。
手紙がスムーズに受け取られれば、通常の遺産分割協議の段取りを進めてください。
3 失踪宣告または不在者財産管理人選任手続きを検討する。
戸籍の附票で調べた住所に手紙を出しても宛先不明になってしまうなど、相続人の現住所がわからないために連絡が取れない場合でも、放置すると遺産分割協議が成立しないことになってしまいます。このようなケースでは、状況によって原則以下の2つのいずれかの方法で遺産分割手続きを進めることになります。
- 家庭裁判所に「失踪宣告」を申し立てる。
- 「不在者財産管理人」を選任する。
「失踪宣告」は、生死不明の者に対して法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度です。生死不明になってから7年間経過しているか、戦争・震災・船舶の沈没などの危難に遭遇してから後1年以上生死不明の状態にある場合に、該当者を法律上死亡したものとみなします。通常は「生死不明になってから7年以上」の条件を満たさなければならないケースがほとんどです。その場合、相続税の申告期限である「相続開始後10か月以内」に遺産分割協議が完了しないことも多いでしょう。(遺産分割協議自体には法的期限はありませんが、相続開始後10ヶ月を過ぎると「減税制度」の適用外になるため、相続税額が上がってしまう可能性が高いです。)
「不在者財産管理人」は、居場所がわからない相続人に代わって本人名義の財産を適切に管理する職務を負う人を言います。不在者財産管理人は「不在者の従前の住所地または居所地の家庭裁判所」に申し立てを行い、裁判所が選任します。「失踪宣告」のように期間に関する条件はありませんが、不在者財産管理人に選ばれた方は他人の財産を管理するという非常に重たい責任を負うことになってしまいます。
「失踪宣告」を行う場合も、「不在者財産管理人」を選任する場合も、手続きが難しい・不利な期間条件がある・財産管理の重責がのしかかる、などデメリットが気になります。
もしも遺産分割の前提問題に争いがなく、法定相続分にしたがって遺産分割を行うなら、次にご紹介する「公示送達を利用した遺産分割審判の申し立て」を検討しても良いでしょう。
4 公示送達による遺産分割審判を申し立てる。
「公示送達」とは、相手方の住所や就業場所が不明の場合に、裁判所書記官が送達(当事者その他訴訟関係人に対して、訴訟上の書類の内容を了知させるために、法定の方式に従って書類を交付し、または交付を受ける機会を与える裁判所の訴訟行為)すべき書類をいつでも交付する旨を、一定期間にわたって裁判所の掲示板に掲示することによって、送達の効果を生じさせる方法です(民事訴訟法111条)。掲示を始めた日から2週間が経過した時点で送達が有効になり、審判申立書を受け取っていない相続人がいる場合でも審判手続きを進めることができるようになります。
公示送達をするには、念入りな現地調査しても相手方の住所や就業先が判明しないことを裁判所に書面で報告することが条件になります。また、相続人に対する公示送達の場合は、遺産分割の前提問題に争いがないことも重要な条件です。
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