COLUMN コラム
訴訟と支払督促、どちらが有効?
あなたが「貸したお金を払ってもらえない」、「家賃や賃金を払ってもらえない」、とお困りの場合、解決するための裁判制度は2つ用意されています。
1つは、訴訟を起こして「民事執行手続き」を行う方法。民事執行手続きは、お金を貸した人(債権者)が申し立てることによって、裁判所がお金を返済しない人(債務者)の財産を差し押えてお金に換え(換価)、債権者に分配する(配当)などして債権者に債権を回収させる手続きです。勝訴判決を得たり、相手方との間で裁判上の和解が成立したりしているにもかかわらず、相手方がお金を支払ってくれなかったり、建物などの明け渡しをしてくれなかったりした場合に有効です。つまり、民事執行手続きを行うには、訴訟で判決を得ることが原則になっています。しかし、訴訟となるとそれなりの額の費用を覚悟しなければならないうえ、かなりの準備時間も必要になってしまいます。
そこで用意されているもう1つの方法が、「支払督促」です。支払督促とは、申し立て人側の申し立ての内容のみに基づいて、簡易裁判所の書記官が相手方に支払いを命じる略式の手続きです。訴訟に比べてはるかに簡易な手続きで執行することができるのが特長です。できれば訴訟より支払督促で債権を回収できれば良いのですが、支払督促にもメリットとデメリットがあります。そのデメリットを知らないまま安易に支払督促を選んでしまうと、結局最初から普通の裁判を行った方が効率が良かった、という事態になりかねません。メリットもデメリットも両面を理解したうえで、訴訟か支払督促かを選択しなくてはなりません。
本コラムでは、実際にどんな場合に支払督促が活用されているのか、支払督促のメリットとデメリット、そして有効性について解説していきましょう。
訴訟と比べた場合の支払督促のメリット
先ほども述べました通り、支払督促の最大のメリットは、なんといっても「申し立ての簡単さ」です。通常、「支払督促申立書」は、所定の書式通りに金額や日付などの情報を記入するだけで、誰でも簡単に完成させることができるようになっています。特別な手続きや専門知識は必要ありません。
また、訴訟に比べて「費用が安くすむ」ことも大きなメリットです。弁護士などの専門家に相談する費用も必要ありません。また、手続きに必要な印紙代も、訴状の場合の半額ですみます。例えば、100万円の支払いを求める内容の場合、訴状では10,000円分の印紙を貼らなければならないところが、支払督促なら5,000円分の印紙を貼ればOKです。
支払督促のメリットには、「執行までがスピーディ」であることもあげられます。仮に債務者が異議申し立てをしなかった場合であれば、支払督促の送達完了後、およそ1ヶ月程度で執行まで終了することができます。債権回収が迅速にできることは、精神的にも利点が大きいですね。
支払督促のデメリット
それでは、支払督促のデメリットについても解説していきましょう。
まず、「支払督促は相手側から異議が申し立てられた場合には無効」になってしまうことを忘れてはいけません。前段落でお話ししました通り、支払督促の場合、ごく簡単な手続きで支払い命令を出してくれます。証拠を確認することも、相手側の意見を聞くこともありません。これではあまりに債権者に有利な制度になってしまいますので、平等性を保つために「支払督促を受けた相手方は、支払督促を受けてから2週間以内に裁判所に『異議』を申し出ることで、支払督促を無効にすることができる」のです。この異議申し立てには特に理由・条件は必要ありません。実際のところは何も反論することがなかったとしても、ただ異議を出すだけで支払督促を無効にできるため、時間稼ぎに利用されることも多いのです。
さらに続くデメリットとして、「支払督促に対して相手側から異議が出された場合、普通の裁判に移行」してしまいます。支払督促がただ無効になるだけでなく、自動的に普通の裁判に切り替わってしまうのです。そうなった場合、結局は裁判のために証拠をまとめあげて提出しなくてはなりません。さらに追加費用として収入印紙の不足分を支払い、裁判に出席して、判決が出るまでの長い間裁判で争わなくてはならなくなってしまいます。
そして、場合によってはもっとも大きなデメリットになってしまうのが、「支払督促後の裁判は、必ず相手側の住所近くの裁判所で開かれる」という点です。例えば、こちらが大阪市に住んでいて、相手側の住所が熊本市にあるとすると、裁判のたびに、九州まで出向かなければならないのです。往復分の交通費・時間・精神的労力を考えると、大変な負担を強いられてしまいます。このデメリットは、最初から訴訟を起していれば避けられたものです。通常の裁判であれば、原告の住所に近い裁判所で起こすことができるからです。
支払督促が有効なケースは限られる
債務者は届いた支払督促に対して、特に理由がなくても異議を申し立てることができる以上、支払督促が有効なケースは限られると言えます。
実際に支払督促を利用している債権者の多くは、大人数の顧客に対して滞納金を請求する必要がある業者(電話会社・ガス会社・電力会社・信販会社・消費者金融など)です。これらの業者の場合、もし支払督促に異議が出されたとしても裁判はほぼ定型的なもので済みます。また、これらの業者は手続きにも慣れているため大した労力もかからないというわけです。日常的に不特定多数の顧客に対し債権回収を行う業者にとっては、支払督促は便利な制度です。しかし、個人や上記例に当てはまらない会社にとっては、デメリットの方が大きいかもしれません。
支払督促制度を活用するかどうかは、相手が異議を申し立てる可能性・裁判になった場合に備えて相手の住所などを良く吟味したうえで判断してください。くれぐれも安易に支払督促を行わないようにしましょう。
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