COLUMN コラム

付郵便送達制度を悪用する犯罪に注意!

昨今、原告側の権利を守るために存在する裁判制度を、都合良く悪用する犯罪がにわかに増えているようです。悪用される裁判制度として代表的なものが「付郵便送達」制度。

送達とは、「当事者その他訴訟関係人に対して、訴訟上の書類の内容を了知させるために、法定の方式に従って書類を交付し、または交付を受ける機会を与える裁判所の訴訟行為」のことです。通常は、「特別送達」として郵便局員が直接、被告に裁判所からの書類を手渡し、受け取りのサイン(押印または署名)を取得することで手続きが完了します。送達される書類には、訴状のほか、判決書や不動産競売開始決定、支払督促・債権差押命令などがあります。送達が完了して始めて、原告側は裁判の準備を開始できることになります。

「付郵便送達」制度は、被告の住所や就業先などは判明しているけれど、被告が居留守を使う・不在票を無視するなどを行ったために通常の送達が完了しない、というケースに限って原告側が利用できる送達方法です。

なぜ付郵便送達は悪用されるのか?

「付郵便送達」は別名「書留送達」とも呼ばれるもので、普通郵便を書留郵便に付する形で発送することで、相手方に送達されたと「みなす」制度のことを言います。裁判所に付郵便送達の利用を認められた場合、原告側は被告側が実際に書類を受け取ったかどうかに関わらず、法律上は受け取ったのと同様の行動を起こすことができます。つまり、被告側が送達を受け取っていなくても、原告側は裁判所に債権回収や財産開示・債権執行を求める申し立てを行ったり、裁判を開始したりできるようになるのです。

さらに、付郵便送達を行ったにも関わらず被告が裁判を欠席した場合には、原告の請求がすべて認められる「請求認容判決」が下されてしまいます。

このように、付郵便送達が裁判所に認められると、原告側は非常に有利に裁判を進めることができるのです。犯罪者はこの優位性を悪用するわけです。

送達を悪用した架空請求詐欺

少し前に横行していた犯罪に、支払督促や少額訴訟などの手続きを悪用して、裁判所に架空の請求の申立てを行う事例がありました。

支払督促手続きは、申立ての要件を満たしてさえいれば、特別送達として送付することができます。つまり、例えそれがでっちあげられた架空請求詐欺であったとしても、被告側にされてしまうと一方的に支払督促が発せられ、特別送達が届いてしまうのです。

支払督促が入った特別送達を受け取った被害者は、「身に覚えがない。どうせ詐欺でしょ。」と書類の内容を無視してしまいました。これは裁判所から見ると、「送達が完了しているにもかかわらず、被告が支払督促に応じない」状態とみなされてしまうのです。

そもそも、送達は被告側にも反論・反証・主張・立証・異議申し立てなどの機会と時間を公平に与え、裁判の平等性・信頼性を保つために行うもの。特別送達を無視したまま放置したということは、被告側は反論の機会を放棄したことになるのです。

そのまま放置してしまうと、架空の請求について判決がなされ、強制執行を受けることになりかねません。

詐欺被害にあわないためにも、例え身に覚えがなくても裁判所からの郵便物には必ず目を通しましょう。もし内容に不審な点があれば、早めに裁判所に直接電話で問い合わせてください。その際、郵便物に記載されている電話番号が本物か、電話帳やホームページなどでしっかり確認することを忘れずに。実際に届いた書類を裁判所に持参してもよいでしょう。

また、裁判所の職員が電話で金銭の支払いを指示することは絶対にありません。そのような不審な電話を受けた場合は、即警察に相談しましょう。

付郵便送達を悪用した訴訟詐欺

前出の架空請求詐欺は、あまりに被害件数や報告件数が多かったため、今となっては多くの人がその手口を知るところとなりました。たくさんの人が認知し、警戒するようになったことで、詐欺師側からすれば成功率が下がった手口と言えます。

しかし、詐欺師はあの手この手で詐欺のチャンスを作り出します。最近見られる手口の一つが、「付郵便送達制度」を利用した訴訟詐欺です。

具体的な手口は、相手の住所に関してウソの報告書を裁判所に提出し、裁判書類が送達されないようにしたうえで、付郵便送達を利用して勝訴判決を得るというものです。被告としてでっちあげられた被害者は、訴訟や少額訴訟があったこと自体に気づかないまま敗訴してしまうため、俗に「知らぬ間敗訴」とも呼ばれます。

最近九州で確認された「知らぬ間敗訴」事件では、飲食店を短期間で辞めた人物が、未払い賃金があるとして経営者を提訴。裁判所に経営者の住所に関する虚偽の報告書を提出して、付郵便送達制度の利用を認めさせました。被害者となった経営者は、提訴されたことさえ知らないまま敗訴判決を受け、預金を差し押さえられてしまいました。

本来、付郵便送達を裁判所に認めてもらうには、それなりに厳しい条件をクリアしなくてはなりません。「送達を試みようとする住所に被告の生活や活動の実態があること」を書面で報告し、証明しなければならないのです。

しかし、詐欺犯は「送達を試みた住所を調査したところ、夜には電気がついているので被告はこの住所に住んでいるはずだ」などと偽った報告書を提出し、裁判所に付郵便送達を認めさせたわけです。

上記の被害者は、訴状の住所が自分と無関係だったため、再審請求をしました。再審では未払い賃金はないという被害者の主張が認められました。しかし、差し押さえられたお金を取り戻すためには、損害賠償を求める訴訟を起こす必要があるとのことです。

このような被害にあってしまったら、早めに裁判所や弁護士に相談するのが良いでしょう。

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