COLUMN コラム
送達にはどんな種類がある?
送達とは、民事訴訟において「当事者その他訴訟関係人に対して、訴訟上の書類の内容を了知させるために、法定の方式に従って書類を交付し、または交付を受ける機会を与える裁判所の訴訟行為」と定められています。簡単に言うと、裁判所が正式に当事者あてに通知書類を送り届けることです。被告側への送達が完了しない限り、原告側は財産開示手続きや債権執行手続きを含む強制執行手続きや、裁判のプロセスをスタートさせることはできません。民事訴訟においてはとても重要な第一段階と言えます。
この送達には、状況に応じていくつかの方法が用意されています。今回は、この送達の方法について、それぞれ詳しく解説していきたいと思います。
通常の送達:相手の住所・居場所への送達
相手方の居場所が分かっている場合には、通常の送達方法で送達を行います。
通常、送達は裁判所から相手側の住所に郵便で送られます。訴状などの書類を入れた封筒には、「特別送達」と大きくハンコが押されており、裁判所からの書類であることがすぐにわかるようになっています。そして「特別送達」は、郵便局員から直接被告人に手渡され、本人が受け取ったことを証明する受け取りのサイン(押印または署名)がなされることで完了となります。
ところが、被告側が素直に書類を受け取ってスムーズに通常の送達(=特別送達)が完了する割合は、実は約5割程度とも言われています。つまり、残りの約5割のケースでは、通常の送達方法ではない、別の送達方法が使用されることになるのです。
では、他の送達方法にはどんなものがあるのかを見ていきましょう。
勤務先への送達
原則、送達は相手側の住所や居場所に送られることになっています。しかし、住所はわからないけれど勤務先はわかる、という場合や、住所・居場所への送達を行ったにもかかわらず相手側が特別送達を受け取らないために送達が完了しない、という場合には、就業先への送達が認められます。
ただし、相手側にすれば、プライベート上の問題を勤務先に知られることは不愉快なものです。実際に不利益になってしまうことも多いので、就業先送達を使うのは本当にやむを得ない場合のみ、と心得ておきましょう。
ここからは、手を尽くしても送達が完了しない場合にのみ利用できる送達方法を解説していきます。
付郵便送達:相手側が特別送達を受領しない場合
被告側の住所や就業先が判明していて、その住所に送達を試みているのに居留守を使われる・不在票を無視されるなどで、通常の送達が完了しない、というケースには、「付郵便送達」という方法が用意されています。
付郵便送達は、別名「書留送達」とも呼ばれます。普通郵便を書留郵便に付する形で発送することで、相手方に送達されたとみなされます。実際に被告側が書類を受け取ったかどうかは関係なく、法律的には受け取った場合と同様の効果が発生することになり、原告側は裁判の準備を開始できるようになります。
付郵便送達を行ったにも関わらず、被告が裁判を欠席する場合もあるでしょう。その場合、被告側は原告側の請求を全て認めたものとみなされます。いわゆる「欠席裁判」と言われるものです。欠席裁判では、証拠を調べたり詳しい調査をしたりすることもないため、原告側の勝訴になる可能性が非常に高いと言えます。
しかし、原告側にとってあまりに有利になってしまうことがないよう、付郵便送達制度を利用するには厳しい条件が課せられています。裁判所はそんなに簡単に付郵便送達制度を利用させてはくれないのです。付郵便送達制度を利用するにあたっての条件や注意点については、別のコラム「付郵便送達を行う際の注意点」で詳しくご紹介しています。ご興味のある方は合わせてお読みください。
公示送達:相手側の行方がわからない場合
被告側の住所や勤め先がわからず、訴状をどこに送ればよいのかわからない、ということも実際には意外と多いものです。また、相手が死亡し相続人が誰か不明な場合もあるでしょう。そのような場合に備えて用意されているのが、「公示送達」という送達方法です。
公示送達では、裁判所の掲示板に訴状など相手方に送付するはずだった書面を掲示します。掲示期間が2週間経過すると、送達が完了したのと同じ効力が発生することになります。実際のところ、被告側が裁判所の掲示板を見ることなどほぼ皆無といってよいでしょう。つまり、公示送達を行った場合のほとんどのケースで、被告側は自分が訴訟を起こされていることすら知らないまま裁判を進められることになるわけです。
公示送達も付郵便送達と同様、原告側にあまりにも有利な状況を生みかねないため、利用できる条件がとても厳しくなっています。公示送達の利用を裁判所に認めてもらうための条件や注意点については、別のコラム「公示送達の注意点」で解説しています。よろしければこちらも合わせてご一読ください。
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